Consumption tax when selling a car

これから愛車を売却しよう考えている方、はたまた車売却の際の消費税についてお調べの方

いろいろと調べた結果、本記事にたどりついたのだと思います。

ネットで調べてみると、「高く売るには消費税を考えること」「税込価格かを確認してみる」などと書かれています。

しかしながら、結局はよくわからなかったのではないでしょうか?

この記事では、しっかりと実際の法令等も交えながら、中学生でもわかるようにかみ砕いて説明します。

車を売却する際の消費税については本記事ですべて理解できるはずです。

消費税について簡潔明快に

With consumption tax

消費税とは?

消費税とは、物品やサービスの「消費」に着目し課税する間接税です。

今後さらに進んでいくであろう高齢化社会において増え続ける社会保障費をまかなうことを目的に1989年(平成元年)導入されました。

当初3%でスタートした消費税は現在10%にまで上昇しています。今や消費税は法人税を超え、所得税に並ぶ国の大きな税収となっています。

間接税
税を納める人と税を負担する人が同じである税金を「直接税」といいます。(法人税や所得税など)一方、税を納める人と税を負担する人が異なる税金を「間接税」といいます。(消費税や酒税など)

消費税は、医療や福祉や教育などの限定された一部のものを除き、国内で行われるほぼ全ての物品の販売やサービスの提供等を課税の対象にしています。取引の各段階でそれぞれの取引に対して10%又は8%の税率で課税されます。

  • 標準税率10%(消費税率7.8%[国へ])、地方消費税率2.2%[自治体へ])
  • 軽減税率8%(消費税率6.24%[国へ])、地方消費税率1.76%([自治体へ]))
国と自治体へ納める税金の割合がそれぞれあります。

 

消費税のしくみ

説明の前に以下を定義します。

  • 消費者・・・物を買う人
  • 事業者・・・個人以外の売る人※いわゆる企業やお店のことです。専門的に言うなら人事業者や法人

消費税は、消費者が負担する税であり、物やサービスなどの買い物をしたときに事業者に支払います。

個人間の売買では消費税はかかりません。例:メルカリ、ヤフオク

事業者は物やサービスなどを販売したときには、消費税を消費者からの預り金とし、課税期間(※)の末日の翌日から2ヶ月以内(個人事業者は翌年3月31日まで)に、税務署へ消費税の確定申告書を提出し、その期間分の消費税を納付します。これが間接税の理由です。

国及び自治体に納税するのは事業者ですが、消費税を負担しているのは消費者です。

課税期間
法人の場合には事業年度、個人事業者の場合には1月1日から12月31日までをいいます。

車を売るときの消費税

With consumption tax

車の売却における消費税のしくみ

車を売却する際に、関係する税には「消費税」「所得税」「自動車税」の3つがありますが、本記事では消費税にフォーカスしております。車の売却の際の税金は少し複雑ですので混同しないようお願いいたします。

さて、先に述べた通り個人と個人の間で売買する場合であれば、消費税を気にする必要はありませんが、車買取業者へ車を売却する場合には、消費税は関係してきます。

予備知識として、課税対象を決める目的として、「通勤用」「レジャー用」「事業用」の3つに大別されます。(※これら3つは任意保険によって定められます。)

3つのうち、売り主が消費税を納税する義務があるのは事業用のみです。なぜなら売り上げとみなされるからです。詳しくは下記の「国税庁より」をご参照ください。

  • 通勤用・・・納税義務なし
  • レジャー用・・・納税義務なし
  • 事業用・・・納税義務ありただし、事業を開始して2年以内や、課税売上高が1千万円に満たない際には免除されることもあります。)
※事業用の車を売却した際に納税義務があるとお伝えしました。ここで注意ですが、消費税を払うのはあくまで消費者(買う側)です。ここでは車買取業者が消費者に該当します。事業用の車を売却した場合は、車買取業者から消費税を預かり、売却者である事業主が税金を間接的に納めるということです。あくまで消費税を支払うのは消費者(ここでは車買取業者)です。

国税庁より

消費税徴税の対象の一項目として「事業者が事業として行う取引」を挙げています。そこには「個人が自家用車を売却する行為は事業として行う売買に該当しないが、事業を行う目的で設立された法人の活動はすべて事業となる」とされています。つまり個人が自家用車を売る場合、消費税は徴税されませんが、事業主が業務用車を売る場合は「事業者が事業として行う取引」に当たり、消費税が徴税されます。

[消費税のしくみ]のまとめ
個人の場合であれば「通勤用」・「レジャー用」でも消費税納税義務はない
✅「事業用」の場合には納税義務はあるが、それは買い手(車買取業者)が負担する。

 

消費税の納税義務は事業者側(買取店)にある

ここで1つ大切なことがあります。先に述べましたが、車を売却した際、売主が個人である場合には消費税の納税義務はありません。しかし、車買取業者は売り主に消費税を支払います。国税庁より以下の法令が制定されています。

国税庁より

消費税の納付税額は、課税期間中の課税売上げに係る消費税額からその課税期間中の課税仕入れ等に係る消費税額(仕入控除税額)を控除して計算します。
この場合の課税仕入れとは、事業のために他の者から商品などの棚卸資産の仕入れのほか、機械や建物等の事業用資産の購入又は賃借、原材料や事務用品の購入、運送等のサ-ビスの購入などをいい、その課税仕入れに係る相手方が課税事業者であることを要件としていません。
したがって、免税事業者や事業者ではない消費者から仕入れた場合も、仕入税額控除の対象となることから、その支払った対価の額は消費税及び地方消費税込みの金額とされますので、その対価の額の108分の7.8(注)相当額は、消費税額として仕入税額控除を行うことができます。
(注) 令和元年10月1日以降に課税仕入れを行った場合には、その対価の額に110分の7.8(軽減税率の適用対象となる課税仕入れについては108分の6.24)を乗じて消費税額を計算します。

少しわかりにくいため簡単な解説と例で示します。青文字に注目してください。

解説

仕入控除税額とは事業者が仕入れ先に支払った消費税です。

事業者の消費税の納付額は消費者から預かった消費税から、仕入控除税額を控除して計算します。

この仕入れとは、免税事業者や事業者ではない一般の消費者(個人)から行った場合も、仕入税額控除の対象となります。

すなわち、車買取業者がオートオークションなどで車を販売したときの消費税を、仕入れの時に支払った消費税で相殺できるということ←事業者にとってのメリット

車を仕入れた時に支払った消費税100円、仕入れた車を販売した時に預かった消費税150円

150円(預かった消費税)-100円(支払った消費税)=50円(収める消費税)

車の売買において個人である売主は納税義務はないのに、買い取り業者は消費税を売主に消費税を支払っています。今の税制ではこのようなことが成り立つのです。これが一般の方の戸惑うポイントです。

まとめ
✅普段の生活で利用する家庭用の車を売った場合、売り手側が消費税を納税する必要はありません。
✅車買取業者は売り手に消費税を支払う。

 

「税込価格」の仕組みとは?

先に述べたとおり、車買取業者は買取の際に消費税を支払うことがわかりました。

しかしながら、売り主が個人の場合には消費税の納税義務がないため、今まで車売却の際の消費税について考えることはなかったと思います。ワタシたちは見積書に「税込み」と表記してあれば「消費税が含まれているんだな」と考える程度です。

また、消費税については説明義務がないため、多くの車買取業者は売却する個人に消費税を明確にしないまま見積もり、「売却金額の内訳に消費税を含む」ということにして買取金額を提示しているのが状況です。

車売却においてあまり意識しないであろう消費税ですが、実は消費税に触れることで価格交渉の際に有利に持っていける可能性があるのです。

愛車の買取価格上昇が期待できる

なぜ消費税を考慮することで価格交渉が有利になるのでしょう?

わかりやすく具体例を挙げて説明します。

査定の結果330万円の買取価格を提示されたとします。

この価格が消費税込み価格であるならば、車両本体の価格(税抜価格)は330万÷1.1(消費税率)=300万です。消費税分は、30万円です。

その価格で契約が成立したとします。個人の売主が消費税を納税する義務はないので330万すべてをもらうことができます。

その後、買いとられた車は、オートオークションへ出品され、360万円(税抜)で落札されたとします。※オートオークションの価格は税抜きと決まっています。←ここがポイントです

そうした場合の車買取業者の利益を計算してみます。

消費税(内税)の場合の車両本体の価格は360万円×1.1(消費税率)=396万円(税込)です。消費税分は、36万円です。

396万円-330万円=66万円の利益です。

もし車買取業者が仕入控除税額を適用しなければこの66万から消費税分の36万円を差し引いて30万円が利益になります。

一方、個人の売主に支払った消費税30万を仕入控除税額とした場合30万に30万を足した60万が利益となります。

これだけを説明されても価格交渉には結び付きません。

しかし、この事実を踏まえて価格交渉が可能です。

以下は商談の過程で多くあるパターンです。

車買取業者がオークションデータを見せながら、オークションでは〇○○万円で取引されているため、今提示している価格が妥当(限界)、他の会社でも同じデータを見ているので、これ以上高い価格で買い取りしてくれる所はないなどと言われ、車買取業者から買取価格を提示されます。

ここで再度思い出していただきたいのですが、オークションでの取引価格は、消費税抜きの価格です。

買取業者が提示してきた金額はオートオークションにおける税抜き価格です。

このようなシチュエーションの遭遇した際に車買取業者に尋ねることは

「査定額に消費税が含まれているのか?」

その答えがYESだった場合、次の質問は

「そのオークションデータの価格には消費税が含まれているか?いないか?」です。

含まれていない場合は価格交渉のチャンスです。

さらに付け加えますとオークション価格に0.85をかけてみてください。この金額が消費税を抜いた見積価格と同等であれば、これは買い取りのほぼ上限なので、売ってもよいと判断できます。

先ほどのパターンでシュミレーションです。

オートオークション価格360万円、売却価格300万円

売却妥当金額=360万円×0.85=306万円となり、このパターンでは提示された300万円よりMAX6万円位は高く売れることが想定できます。

その価格に届かなければ

「もう少し頑張れますよね!」と査定額の上乗せを迫ってみましょう。数万円の値上げにつながるかもしれません。ただし、売り手側が消費税の上乗せを強制する権利がない点は理解しておきましょう。

まとめ

車を売却する際の消費税について書いてみました。

まとめると

  • 売却の際、「個人」の場合は消費税を納税する必要がないこと
  • 「事業用」の場合には納税義務はあるが、それ買い手(車買取業者)が負担する
  • 消費税のしくみを知っていれば価格交渉の際に有利になること

となります。

本記事が消費税についての理解にお役立ちになれば幸いです。

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