第一種放射線取扱主任者講習 第4章 講習3日目 大量の計算

放射線取扱主任者講習3日目です。

・9:30から実習のための講義が30分
・10:10~13:10まで実習して昼休憩
・14:10~17:00まで実習

というスケジュールになっていました。本日から非密封のRIを使用します。

実験実習 液体シンチレーションカウンタによる測定法

本日3Hの低エネルギーβ線を測定する実習があります。

そこで使用するのがこの液体シンチレーションカウンタです。講義や講習で詳しい説明があります。試験に出ます。

下記の3点をご参考ください。

  1. α線や低エネルギーβ線測定に適しているが、高いエネルギーのβ線も測定可能である
  2. クエンチングとは何で、どんなことがおこるのか?を理解する
  3. クエンチングには補正法が主に3つかあり、それらを覚える

実習

実習2-1 凝集沈殿法による水中RI濃度の測定

実習内容
鉄-バリウム沈殿法により、32P(リン酸)を含む廃液中のβ線放射能濃度を全β計数法を用いて測定する。

パートナーとペアを組みホット(RI触る)とコールド(RI触らない)に分担して進めます。

この実習に限ったことではないですが、先生から実験手順の解説があります。すべては無理かもしれませんが聞きながら手順をシュミレーションして下さい。

かなり煩雑な実験ですのでシュミレーションすることで割とスムーズに実験できます。

先生方の監視が入るので実験の失敗はありません。そもそも失敗してもリカバリできる実験です。

また実験の進みが遅いペアは先生が手伝いますので、結局全ペアは同じくらいの時間に終わりますので安心してください。

●実験内容の簡易説明

32P(リン酸)を含む廃液があります。沈殿させた32Pの計数率から排水100ml中の放射能濃度(Bq/cm3)を求めましょう。

そして法令で定められている32Pの排水中の濃度限度(Bq/cm3)と比較しましょう。排水できますか?といった内容です。

とにかく実験で得られたデータを元に計算がたくさんあります。ワタシの場合は放射能計算の知識が希薄していて大変でした。cpmをcpsに戻すことを意識してください。

しかしながら、この計算についても先生が教えてくれますし、間違いも指摘してくれますので正しい答えを導けることは確実です。安心してください。

レポートの考察内容です。

ここで大切なことはβ線を測定する際に最大エネルギーの違いによって計数効率が変わるということです。

β線は空気や検出器窓にも吸収されます。低エネルギーほど吸収が顕著です。どうやったら補正できるでしょうか?

キーワードは「エネルギーと吸収体の厚さの関係のグラフにおける外挿値」です。これを頭に入れて先生の話をよく聞いて下さい。ここは試験に出ますので考察とともに理解してください。

実習2-2 空気中3Hの濃度の測定

実習内容
水バブラ(水中に空気を送り泡を作る装置)を使って空気を吸引し、バブラ水中に捕集した空気の3H濃度を液体シンチレーション計数装置を用いて測定する。

ここは4人グループで実習を進めていきます。特に難しくありません。先生の説明通りにやってください。

●実験内容の簡易説明

3Hを含んだ空気を循環させて水の中に溶かし込みます。上流側(そのままの空気)下流側(上流側を通った空気)を測定してこの空気は排気可能ですか?という実験です。

レポートのキーワードは「排気中の3カ月の放射能濃度の平均値が濃度限度を超えないようにする。」ということです。

また「実際は排気中の3カ月の放射能濃度の平均値が濃度限度を超えないことが排気の条件だが、毎回の排気でも超えないように環境等の管理をする。」ということも主任者としての考え方では大切です。

試験に出るところはこの記事の始めにお伝えしましたが再度書いておきます。

  1. α線や低エネルギーβ線測定に適しているが、高いエネルギーのβ線も測定可能である
  2. クエンチングとは何で、どんなことがおこるのか?を理解する
  3. クエンチングには補正法が主に3つかあり、それらを覚える

特にクエンチング補正ですが、実習では外部標準チャネル非法(ESCR)を用います。

原理

液体シンチレーションカウンタ内に測定サンプルを入れます。装置内部で測定サンプルにγ線を当てます。サンプル内でコンプトン散乱による電子が発生し液体シンチレータが発光します。装置にはクエンチャーが全くない状態の発光スペクトルのデータがありますので、クエンチャーがあり、発光が少ないスペクトルが出た場合はクエンチャーなないデータで補正するといったものです。試験に出ますので覚えておいて下さい。

実習3 NaIによるエネルギー校正

実習内容
この実習では2つの実験を行います。

①NaI(Tl)シンチレーション検出器と多重波高分析器(MCA)を組み合わせたγ線スぺクトロメータを用いてγ線のエネルギー決定法を学び、未知資料に含まれる放射性同位元素の核種を同定する。

②特定のエネルギーにおける鉛と鉄の質量減弱計数を求める。

まず、基礎としてNaI(Tl)はγ線のエネルギーに比例した数の光を出します。サーベイメータですとこれはただの1カウントですが、MCAをつなげるとこの発生した光の数の情報がわかりますので、それによってγ線のエネルギー情報を知ることができます。

●実験内容の簡易説明

γ線エネルギーが予めわかっているエネルギー校正用線源(60Co、57Co)を測定します。スペクトルにピークが出てくるのでそのスペクトルの値であるチャネルを読み取ります。

横軸をγ線エネルギー、縦軸をチャネルのグラフに既知の60Co、57Coのエネルギーと対応するチャネルの値をプロットして直線を引くと「エネルギー校正曲線」の完成です。

未知の資料を測定してピークのチャネルを求めます。「エネルギー校正曲線」からエネルギーを求めて核種を同定します。


137Cs線源を用いて、鉛の遮蔽体を少しづつ増やして半価層を求めます。ステンレスも同じようにして半価層を求めます。

遮蔽体厚を横軸に、遮蔽体厚による総カウントの比を縦軸にした方対数グラフに値をプロットして直線を引きます。

グラフから遮蔽体厚による総カウントの比が0.5になるところの遮蔽体厚を読み取ります。これが半価層です。半価層がわかればレポートの指示通りに計算すれば質量減弱計数が求まります。

アドバイスとして

①の実験の考察は試験に出ました。

検出器と線源の間に遮蔽体を挿入した場合や、線源の距離を変えた場合にはエネルギー校正を実施する必要があるか?という問題でした。答えは必要ないなのですが、この理由と、逆にどのようなときにエネルギー校正を実施する必要があるのかと合わせて理解してもらえればと思います。

レポート提出

この日も次の日(木)の朝が提出期限です。

今日の実習ではなかなか考察で悩んでいる方が多かったです。それぞれの実習の最後に必ず先生が考察の答えやヒントを言ってくれますから聞き逃さないようにするのがポイントです。

ちなみに本日の昼休憩にワタシの机に再提出の付箋が貼られたレポートがありました。少しショックです。内容は割愛しますが、2分もあれば書き直せる範囲でしたし、先生が丁寧に答えとなるものを書いてくれていますので、それを参考に書き直すだけです。

アドバイスとして余計なことを書きすぎないことも重要です。今回はそれに該当する再提出でした。

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