第一種放射線取扱主任者講習 第3章 講習2日目 実習開始

放射線取扱主任者講習2日目です。いよいよ実習が始まります。

スケジュールとしては9:30から昼休憩まで講義、午後13:40から実習となっています。

講義-5.放射線防護に関する量と単位

9:30~10:30の講義です。

この講義では放射線の量(フルエンス、吸収線量、カーマ、線量当量など)とその単位について学びます。

個人的にはこの講義の内容はわかりやすかったです。とくにスライドが秀逸でした。

今までカーマとかフルエンスだとか理解できていなかった方もこの講義で理解できると思います。

さて、この講義で特に大切なことが2つあります。

  1. 単位を細かいところまで確実に覚える
    (Gy及びSv=J/kg、フルエンスの単位はm-2でもcm-2どちらでもよいとかです。)試験に出ました
  2. 1cm線量当量の理解
    何のために何を使用して行うのか)実習の理解が深まります

上記のところは特に意識して聞いて下さい。特に単位は復習しておきましょう。

講義-6.密封小線源の安全取扱法とモニタ等

10分休憩して10:40から12:10まで講義があります。

冒頭より「この講義からは試験出ませんので気楽に聞いて下さい」と先生が言っていました。(笑)

内容としては

  • 密封小線源の定義
  • 密封小線源の安全テストの紹介
  • それぞれの線源の特徴

といったもので、確かに試験には出ていません。

しかし発見のある講義でした。密封小線源に書かれている数字の意味など・・・これはみなさん直接講義で学んでみてください。

講義の最後に、「実習の注意事項等」があります。

  • 実習の目的と準備について
  • サーベイメータや個人被ばく線量系の取扱や特徴について
  • レポートの提出方法と期限について

特にスライド資料にある「サーベイメータの特性・特徴」は復習して確実に理解しておいて下さい。試験にも出ますし、実習レポートの考察にも必要です。

線量計の校正

12:10から12:40まで午後からの実習の準備をします。

実習は「管理区域」で行いますので「管理区域」移動して以下の説明があります。

  • 立ち入りの方法
  • 個人線量計の付け方
  • 被ばく線量の記入補法
  • 管理区域から出るときの注意点

午後からの実習では個人線量計の実用校正を行います。

これには「ファントム校正」「ファントムを用いない校正」があります。

実習ではどちらもやりますが、準備としては「ファントムを用いない校正」ためのものです。

137Cs密封線源を中心にして実習生全員の線量計を幾何学的に同じ位置(円)に配置して線量を測定するといったものです。測定は20分間行います。

昼休憩時間を有効活用するため実習前に測定します。実習中は限られた時間で効率よく進めるため、このようになるべく時間を有効に使うことが常々求められます。

ワタシたちは照射を始めて線量計の表示が0から1に変化したこと、すなわち測定が確実に行われていることを確認して昼休憩に行きました。

実習1日目

実習1日目は

  • 実習1-1、1-2 半導体式ポケット線量計の校正
  • 実習1-3 サーベイメータの校正
  • 実習1-4 サーベイメータのエネルギー特性

という内容になっています。32人(ワタシタたちの時は欠席者ありのため31人)いるので、実習1-1、1-2に16人(No1~16又はNo17~32)実習1-3に8人、実習1-4に8人といった具合に分かれて実習を進めていきます。

・実習1-1、1-2 半導体式ポケット線量計の校正(1-1ファントムを用いない校正・1-2ファントム校正)

実習内容
半導体式ポケット線量計を、1cm線量当量率が予め分かっている137Cs基準線源からの距離が1m(照射線量基準場)となるファントム上(前面)に設置し、ファントム上の線量計の指示値に基づいて、その指示値の相対指示誤差および校正定数を求める。ファントム校正された線量計は、実用基準測定器として、ファントムを用いない校正に使用する。

校正とは
基準の1cm線量当量値に対して測定値のズレを補正すること。補正には校正定数が必要なので、校正定数求めることで線量計の校正が可能になります。

●実習内容の簡易説明

順番が前後しますが実習は1-2ファントム校正から行います。

・1-2ファントム校正

1cm線量当量率が予め分かっている137Cs基準線源からの距離が1mのところにあるファントム上(前面)にポケット線量計を置きます。

20分測定し、得られたポケット線量計の指示値と、137Cs基準線源の1cm線量当量計算値からこのポケット線量計の相対指示誤差校正定数を求めます。

これで、このポケット線量計は校正可能になりました。※ちなみに計算式はレポート用紙に書いているので数値を当てはめるだけです。

 

・1-1ファントムを用いない校正

昼に測定しておいた自分のポケット線量計を校正します。

実は1-2で校正したポケット線量計も自分のポケット線量計と同じ条件で昼に測定されています。

ですので、1-2で校正したポケット線量計の指示値に1-2で求めた校正定数を乗じた値が基準の1cm線量当量計算値になり、この値を元に自分のポケット線量計の相対指示誤差校正定数を求めます。

これで、このポケット線量計は校正可能になりました。※ちなみに計算式はレポート用紙に書いているので数値を当てはめるだけです。

一番気になるレポートの考察ですが、この実習に限らずどの実習でも最後に先生が教えてくれますので聞き逃さないようにして下さい。

・実習1-3 サーベイメータの校正

実習内容
標準γ線源(137Cs、60Co)を用いて電離箱式サーベイメータとNaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータの校正を行う。自由空間上で、それぞれ距離を変えて測定し、各レンジ毎の指示値の相対指示誤差および校正定数を求める。

この実習でサーベイメータの使い方を学びます。

●実習内容の簡易説明

137Cs、60Coの2つの線源がありますのでパートナーとどちらか1線源ずつ担当し測定します。

測定には電離箱式サーベイメータとNaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータのどちらも使用します。

線源から5mの距離から4m、3m・・・1mと1mずつ近づいてそれぞれ場所での指示値を記録します。その指示値を元に線源の距離ごとの相対指示誤差と校正定数を求めます。

得られた結果から距離が遠くなるほど校正定数が小さくなることが確認できます。これは距離が離れるほど真の計数率より値が大きいことを表しています。

理由としては線源からの距離が遠くなると直接線は減るのに対して、散乱線はあまり変化しません。そのため線源からの距離が遠くなると相対的に散乱線の割合が増え真の計数率より線量計の指示値が大きくなっていくためです。

これがレポートのキーになります。これを補正するには散乱線補正係数が有効です。これも先生が教えてくれます。

・実習1-4 サーベイメータのエネルギー特性

実習内容
241Am、57Co、133Ba、137Cs、60Coの標準線源を用いてNaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータとGM計数管式サーベイメータのエネルギー特性を調べて比較検討する。

※時間節約のためNaI(Tl)シンチレーション式は予め数値を求めてくれています。なので、ワタシたちが測定するのはGM計数管式だけです。またここで対数グラフを使用してグラフを書きますので、自信のない方はグラフのプロットの仕方を予習しておくことを推奨します。

●実習内容の簡易説明

それぞれのサーベイメータで測定したときにγ線のエネルギーによって真値のカウントと差が大きくなったり、小さくなったりしますが何故ですか?

またGM計数管式とNaI(Tl)シンチレーション式のエネルギー特性も全く違います。では電離箱式も含めて、それぞれどんな特徴があって何に気をつけたらいいのでしょう?という内容です。これも先生が教えてくれますから安心してください。

NaI(Tl)シンチレーション式サーベイメータとGM計数管式サーベイメータと電離箱式サーベイメータの特徴は確実に覚えて下さい。試験に出ます。

レポート提出

期限は次の日(水曜日)の朝です。

19時までは講義室を使えるので他の方の多くは残ってました。
レポートに関しては、先生が考察の答えをほぼ教えてくれます。聞き逃したりしなければ問題ないと思います。

レポートが再提出になることもありますが先生が適切な助言を付箋してくれます。

ただ実習中は実験や計算に追われて付いていくことがやっとだと思います。なので理解を深めるために実習内容を復習して、何をやったのかを理解することが大切になります。

試験も実習のレポートや計算から出てきますので短期間ですが頭に叩き込みたいですね。

何はともあれ1日目の実習は慣れない事もあって大変でした。「明日も明後日も実習」と思うと気が滅入るかもしれませんが、だんだん実習にも慣れてきますので頑張りましょう。

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